紀尾井町サロンホール主催「木曜コンサート」を、より皆様に楽しんで頂けますよう、ご出演者様へのインタビューを企画致しました。演奏だけではわからない意外な素顔が垣間見えたり、より身近に感じられるようなお話をぜひお楽しみください。Vol.001はピアニストの青木智哉さん・三浦コウさんです。

ピアノを始められたきっかけについて教えてください。

青木 4歳の頃、親戚の叔父の家にピアノがありまして、叔父は音楽教師だったのですけれど独学でピアノをやっていて、専攻はトランペットでしたので、そんなにピアノは上手くなかったんですけれど、その叔父の家に遊びに行った時に「ドレミファソラシド」をみてもらうみたいな感じで遊んだのがきっかけですかね。

三浦 母がピアノを習っていて、自然にピアノがあるということで、母から教えてもらうというか、ポロポロと弾いていたのが最初だと思います。

お二人ともご家族やご親戚がピアノのある生活でいらしたのですね。では、演奏家になると意識されたのはいつ頃だったのでしょうか?

青木 僕は小学生の時に「将来の夢はピアニスト」と文集か作文に書いた記憶があるんですよね。でも、どういうふうにやっていくものなのか全然分からないまま、クラスの合唱の伴奏とか、そういうのをやってクラスのみんなに「すごいね!」って言われて、のせられたままに、「ピアニストになりたい」って書く感じで、調子に乗っていたという感じですね。

ピアノはお好きでしたか?

青木 はい、ピアノはすごく好きでしたね。

親御さんにやらされていると感じるお子さんもいらっしゃるので、ご自身で「ピアノが好き!」でいらしたのは素敵ですね。

青木 普段ツェルニーとか、習っているとやらなければいけないものに直面すると「面白くないなぁ」と思っていたところはありましたけれど、「有名な曲を弾きたいなぁ。」とか
いろいろ思っていて、先生の前では真面目にツェルニーとか弾くんですけれど、家に帰ると適当にテレビで流れている曲を弾いて、学校で弾くとみんなが喜ぶ曲を勝手にやっていました。

みんなが喜ぶ曲といいますと?

青木 最初の頃、僕が覚えているのは「だんご三兄弟」をクラスで弾いて・・

もしかして、ご自分のアレンジですか?

青木 いや、さすがにその時は楽譜を頼んで買ってもらって。反対されたんですが、「遊びでピアノ弾くな!」みたいな感じで言われて。「習うのなら、ちゃんとやりなさい。」と。両親教員なもので、けっこうそこらへんは「ぴしっとやれ!」というところがあったので。でも、その頃くらいから、テレビでよく聞く曲とかを「楽譜なしで聞く方法ってあるのかな?」という感じで耳コピを始めたのは小学校1、2年生くらいからだったと
思います。

素晴らしいですね。演奏家になる素地がその頃から積み重ねられたのかもしれませんね。それでは、三浦さんは演奏家になると意識したのはいつ頃ですか?

三浦 僕はあまり「演奏家になる」と意識したことはなくて。まぁ、それしか知らなかったというか、他のことはあまりやっていなかったし、なんとなく大学、大学院を卒業して、この道に入ったという感じです。小さい頃はサッカーしたり遊んだりする方が好きで、もちろんピアノも好きでしたけれど、練習はあまり面白くないなって、中学三年生くらいまでは遊びの方に走っていましたね。

でも音楽大学に進まれたというのは、何かきっかけがおありだったのでしょうか。

三浦 同性の憧れのピアニストが知り合いにいて、それは影響があったかなと思います。サッカーも本格的にやっていたわけではないので、その道に進むということも考えませんでしたし。

やはり、音楽の道に進まれるご縁や素養がおありだったのでしょうね。私は昨日、お二人のコンサートをYou Tubeで拝見させて頂きまして、とても楽しいコンサートで素晴らしいなと思ったのですが、お二人でコンサートをされようと思われたきっかけを教えて頂けますか?

三浦 僕は明確に覚えていますね。(青木さんを見て)覚えてないですか?

青木 う~ん。覚えてないですね(笑)

三浦 2014、15年頃だったのですけれど、同じ大学院を卒業して2年目くらいに僕も何かやりたくなって、でも一人では心細がったので「ライブしない?」と声を掛けたのがきっかけですね。

なぜ青木さんだったのでしょうか。

三浦 仲が良かったので。

青木 あの頃は仲良かったですよね。大学入りたての頃はあんまり話してなかったんですよ。門下も違ったし、でも大学院行った時には人数がしぼられてくるので、それから結構話すようになりましたね。

お二人ともソロとしてもご活躍されていらっしゃいますが、お二人の時ならでは出来るというようなことはおありですか?

青木 演奏的な話でしたら、連弾であったり、2台ピアノであったり、一人では味わえないことが出来ますし、人間的なところで僕が思っているのは僕の性格と彼の性格が全く違うので、トークをしていても僕が考えていないことを彼がアイデアとして持っていたり、僕らはあまりMCの段取りも考えないんですよ。会場の雰囲気で、大体この時にはなんとなくこんなことを話そうみたいな、大きな型は作っていますが、細部までは作っていないんですね。それで実際MCの時に彼が意表を突いて面白いことが出てきたりして、お客様からのフィードバックでも「二人のそういうところ、全く違うから面白いんだよね!」なんて言って頂くことがあります。

お二人ならではのいい反応が生まれるのですね。演奏はもちろんですが、トークも楽しくて、お客様が自然に笑顔になるようなところが本当に素晴らしいなと思います。三浦さんはお二人でのコンサートはいかがですか?

三浦 連弾とかは僕たちでアレンジするんですね。既存の楽譜は使わないということがポリシーで。だからここでしか聞けないというものはあるかなと思います。

アレンジがお出来になるのは素晴らしいですね。お好きな音楽も似ていらっしゃるのですか?

三浦 いや、そこは似てないですね。

そうすると、お二人それぞれでは興味がなかったものにも目を向けられるようになって、良い意味で取り組まれるものも広がっていかれるのでしょうか?

三浦 そうですね。ディズニーとか。

青木 僕は小さな頃からパークに行くのも好きだし、音楽もすごく好きで…。

青木さんはコンサートでくまのプーさんのアトラクションをピアノとトークで再現されていらして、本当にお上手でディズニーに行ったかのような気持ちになりました。

青木 ありがとうございます!あまり、そういうことやっている人いないと思うんですけれど、そういうことをやった時も彼は「そんなのやめようよ。」とか絶対に言わないんですよ。

三浦 昔は言ってたよ(笑)だんだん染まってきちゃって、抵抗がなくなってきちゃったんだね。

青木 うん。段階はあったかもね。最初は拒否っていうところがあって、次は「青木だけがやるならいいよ」って、その次には「三浦、ちょっとこれやってくれない?」って言ってもやってくれるようになりました。

慣れてこられたのですね。でも、雰囲気のいい楽しいコンサートは素敵です!お二人とも数多くレパートリーがおありかと思いますが、ご自分で大切にされていらっしゃる楽曲やお好きな作曲家など、学生時代から含めて教えていただけますか?

三浦 学生時代ショパンとかあまり弾かなかったのですが、卒業してから弾くようになり、在学中には弾けなかったこともあって、そこは楽しいなと思いました。

青木 僕も彼と同意見で、ショパンやリストという、いわゆる有名な曲って、あまり大学生の頃に触れる時間がなく、どうしてもコンクールや試験に向かって曲を準備するところがあって、一般的に知られていない曲が多いんですね。でも、コンサートをやろうという時にレパートリーが誰も知らない曲シリーズみたいになってしまって…そうすると集客も難しくなりますし、ですので大学卒業してからショパンやリストなどの有名な曲を勉強して習得しましたね。あと僕はディズニーが好きなので、アランメンケンがすごく好きですね。

なるほど。年齢でも感じるものが違って、子どもの頃はショパンばかり好きだったけれど大学に入ってロシアものが好きになったとか、年代で好きなものも変わってくるとか、そういうことも聞きますね。

青木 僕も学生時代はブラームスがすごく好きで、でもなかなか好きな作曲家は一人にはしぼれない感じですね。ラフマニノフやチャイコフスキーなどロシア物をなぜ日本人がいいと言うのだろうと大学時代に勉強したんですけれど、ウクライナの民謡から大陸を伝わって日本に来たという経緯を調べたりすると、行ったことはないけれどロシアの人と日本の人がつながっている気がすると思って、ロシアものすごく好きになったし、やっぱり僕自身もその時々で好きな作曲家って変わっているなと思います。

これから先もいろいろな出会いがあるでしょうね。お二人ともお忙しい日々かと思いますが、音楽以外でこんなことをやっていると楽しいとか、お好きな時間の過ごし方はおありですか?

三浦 僕は割と運動が好きで、今でも出来る時には運動したり、ジムに行ったりとかしてます。

三浦さんはスタイルがいいですものね。やはり、体を動かすことはいいですよね。

三浦 はい。気分転換になります。

青木さんはいかがですか?

青木 僕は真逆なんで(笑)体は極力動かしたくないって方で。ストレス解消は、ご飯食べていますね。美味しいものが好きで…。

コンサートの中でお誕生日プレゼントに外食が多いからって貯金箱を三浦さんから頂いていらっしゃいましたものね。

青木 すごく恥ずかしいですけれど、適当にごはんを済ませるみたいなのがちょっと嫌で。外食だけじゃなくて自分でも作ってるんですけれど、時間がかかってしまって…。

男の人のお料理ですね。でも、素敵なご趣味ですね。では、今後演奏家としてか、もしくはご自身で何かチャレンジされたいことはおありですか?

三浦 レパートリーを徐々に増やしたいなというのはありますね。持っているものをまったくさらわないと弾けなくなってしまうので、今までのレパートリーを維持しつつ増やしていきたいなと、それはちょっと大変ですけれど。

今まで弾いたことないようなものにもチャレンジされたいということですか?

三浦 そうですね。

コンサートではチックコリアさんのスペインも弾かれていらっしゃいましたが、ジャズなどもお好きですか?

三浦 憧れはありますね。

三浦さんは髭男の楽曲を動画投稿されたり、いろいろな楽曲にもチャレンジされていらっしゃいますね。ファンの方も楽しみにしていらっしゃるのでしょうね。

三浦 いきなり動画更新が途絶えたりすると大丈夫かと心配されて(笑)…。2週間くらい何もしないでアップした時には「生きてたんですね!」と言われたりして、こういうことって大事なんだなと思いました。

青木さんはいかがですか?

青木 僕は大学出て最初にやったコンサートはクラシックオンリーだったんです。で、彼と一緒に演奏会やるようになって、クラシックに馴染みのない方にも楽しんで頂けるようなコンサートをということでポップスを入れてみたり、クラシックでも有名な曲を多く入れたりとか、今までずっとやってきて、そういう形が正直多いのですが、個人的な挑戦として僕はここに来て大学の時に勉強してきたクラシックだけのコンサートをもうちょっと展開したいという想いがあります。根底にクラシックという技術があるという上にディズニーやジブリ、ポップスのアレンジをしているので、核になっているクラシックの部分というのをもっと深く追求していきたいと思っています。

最後になりますが、今回のコンサートに向けてお客様にメッセージを頂けますでしょうか?

三浦 いつもは二人ですが、今回はゲストがおりまして、大学で同級生だったトランペットの田尻大喜さんを迎えます。彼が面白いキャラクターなので、客観的にどうなるのかなと想像がつかないところもあり、それは楽しみに思っています。

三人でのコンサートは初めてなのですね。

三浦 はい、そうですね。一番はっちゃけている人間なので、元気が出るというか。

それはコンサートにお越しになるお客様も楽しみですね!青木さんは何かございますか?

青木 そうですね。田尻くんの力も頂きながら、僕ら二人がやっているコンサートは基本的に元気を皆様に届けたいと思っているので、楽しさと元気を皆様に感じて頂けるようにしたいと思っています。

それでは9月10日楽しいコンサートになりますように、お祈りしております。本日は長時間にわたり、ありがとうございました。

(取材は緊急事態宣言解除後の2020年7月に行われました)

三浦コウ プロフィール
東京音楽大学ピアノ演奏家コースを経て、同大学院修了。2011年ヨーロッパ国際ピアノコンクールin Japan 第1位グランプリ。ガラコンサート出演。パシフィコ横浜国立大ホール、神奈川県民大ホール、ヤマハホール、など多数のコンサートでピアニストを務める。ラフォルジュルネ2018に出演。テレビ朝日等の音楽番組に楽曲提供や、エンジニアとして假屋崎省吾氏など様々な著名アーティストのCDも制作する。

青木智哉 プロフィール
東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。同大学院修了。第 12 回日本演奏家コンクール特別賞などコンクール入賞を重ねる。2016 年髙嶋音楽事務所より、ピアノトリオ 「ザ・フレッシュメン」としてデビュー。2018年「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2018」出演。また、YouTube「東京ディズニーランドをピアノで一周する動画」の作者でもあり、自身が敬愛するディズニー音楽の普及に努めている。これまでに、成澤節,外山準, 石井克典,野島稔の各氏に師事。

コンサート情報

アーク紀尾井町サロンホール主催シリーズ 木曜コンサート
「青木と三浦のCONCERT」

2020年9月10日(木) 開場18:00 開演18:30

チケット
一般 4,000円 定員に達したため受付終了いたしました
学生 1,000円 定員に達したため受付終了いたしました

配信チケット 1,500円
https://streaming.zaiko.io/_item/330036

ご予約方法 下記フォームよりお申し込みください。
https://forms.gle/MxZDS2hHuvjcQzsC6

出演:青木智哉、三浦コウ
ゲスト:田尻大喜