©Shinya Nishizaki

 

2023年3月30日 木曜コンサート〈樋口達哉 Passione サロンコンサート〉

ピアノ: 金井 信

今期ラストを飾っていただくのは、日本オペラ界を名実ともに牽引するテノール歌手・樋口達哉さん。
2月末に国際的アート集団チームラボが手がけた大スペクタクルオペラ 二期会〈トゥーランドット〉は大きな話題を呼び大喝采を浴びました。カラフを演じられた樋口さんは、演技、歌唱ともに圧倒的な存在感を示した舞台でした。
2022年は4月にはプッチーニ〈エドガール〉タイトルロール (福井敬氏とダブルキャスト)、 6月は満を持して開催した自主プロデュース〈道化師〉カニオ、11月は藤沢〈ラ・ボエーム〉ロドルフォと次々と大きな役柄を演じきり、まさに円熟期を迎えられた〈今〉の樋口達哉さんに少し質問を投げかけさせていただきました。コンサートのご案内としてお役にたてていただければ幸いでございます。

 

 

 

 

 

2月23日・25日東京文化会館〈トゥーランドット〉、お疲れ様でございました。
とにかく驚きました。これが東京文化会館かと思うくらいの異世界への誘い。最先端のオペラのセノグラフィー、歌手・ダンサー・オーケストラ・演出、すべての素晴らしい才能が結集された舞台でした。まさに総合芸術。
樋口さんがカラフの人間性、業の深さというものを生々しく大胆に、歌唱・演技で表現されていたのが、とても素晴らしかったです。
2022年から振り返り、大きなお仕事を成し遂げた今の心境をお聞かせくださいませ。

『トゥーランドット』の舞台をご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
お蔭様で、4回公演のすべてがほぼ満席の状態という快挙でした。
あの東京文化会館が満席というのは稀ですものね。
コロナ前に戻ったかのようでした。

今回のチームラボとの共演は、我々をも異空間へと連れて行ってくれました。
あの舞台に立っているのかと思うと、もう全身が震えましたね。
あの興奮は何だったんだろう。
この感覚になれるからこそ、舞台人はやめられないのですね。
あの舞台こそ、全ての方に観て頂きたかった舞台です。

今回のカラフ役は、今の私にとってまさにド真ん中の役だったかもしれません。
近年は、サムソン役、エドカール役、カニオ役のように、必要とされる声がより重い役が多くなってきました。
機が熟してきましたかね。
それと同時に、まだまだ「伸びしろ」があると実感できましたし、声がどんどん成長していく感覚になりました。

冗談のように聞こえるかもしれませんが、
「神の領域」に近付くことが僕の目標です。
あの『トゥーランドット』の時は、異次元と繋がったような錯覚をおこしました。

ご自身のお声、お体のメンテナンスも大事なお仕事となりますね。
樋口さんは華やかで力強い歌唱・演技力は以前から折り紙つきですが、身体表現にとても優れている方だと思います。お体の使い方、スピード感がとても役柄にリアリティーを持たせてらっしゃいますが、お体を保つにあたって、なにか特別なトレーニングとかなさっていますか?走り込みとか?オペラの舞台に立ち続ける肉体の作り方を教えてください。

年齢を重ねるごとに、フィジカル的な重要さを感じます。
オペラ歌手は「アスリート」というのをよく耳にしますが、その通り!
ほんとに体力・スタミナ勝負だと思います。

もう15年になりますでしょうか、パーソナルトレーナーさんと一緒に地味〜にトレーニングを続けています。
きっかけは、当時舞台でご一緒した先輩ソプラノ歌手さんからなのです。
それ以来、ガチの筋トレではなく、体幹トレーニングを続けているのですが、これがまたとっても有益なのです。

何事もそうですが、やっぱり体が資本!
ずっと歌い続けるために、これからは走り込みでもしましょうか!

 

プライベートな質問です。休日のリラックス方法を教えてください。
あと、一ヶ月間、神様がお休みを与えてくださって、「制約なく(古今東西)、どこでも好きなところに行っていいよ」と約束してくれたら、何処に行きたいですか?また、どのように過ごされますか?

カッコつけて言うと、ぶらっと街に出かけてウインドウショッピングですかね。
少しでも身体に余裕がある時はそうしますが、疲れが溜まっている時は家でボーッとしたり、ゴロゴロしてます笑
何も考えず、歌うことも忘れて「ザ・休日」を楽しみます。

コロナ前はそうでしたが、2週間くらいお休みを作って海外に出かけていました。
ヨーロッパの場合は勉強を兼ねてでしたが、丸々1ヶ月のお休みを頂けるのなら!
イタリアに行ってぇ、ハワイに行ってぇ、沖縄に行ってぇ…
北海道にも行きたい!
特に函館は大好きです。
夢のようですね。

立て続けに大きなオペラの舞台が続きますね。
今後の演奏活動についてお聞かせください。
また、本業以外にチャレンジなさりたいことはございますか?

今後のオペラ出演予定は、5月に『アンドレア・シェニエ』、10月に『ドン・カルロ』
両方ともタイトルロールという重要な任務ですね。
その他にコンサートがポツポツと。

いつまでも舞台人として生きていきたいです。
僕にとっては「オペラ」ということがキーワードかもしれません。
何と言っても、演じることがたまらなく好き。
歌役者であり続けたいです。

本業以外にやりたいことなんてありません。
不器用なもので、本業に集中していたら他は何も手をつけられません。

3月30日木曜コンサート〈樋口達哉 Passione サロンコンサート〉は麗らかな季節にふさわしい「春」がテーマとのこと。どのようなコンサートになるのか楽しみです。
最後に、コンサートを心待ちにされていらっしゃるお客様へメッセージをお願いいたします。

自分で言葉にするのはおかしなことですが、歌手としてこれから円熟期を迎えていきます。
そして、これから益々実力を発揮できるチャンスだと感じでいます。
今まで樋口達哉の歌を聴いて頂いた方々にも、初めて聴いて下さる方々ににも「あなたについていきたい!」と思って頂けるようなコンサートにしたいと考えています。

シリーズ化していく予定ですので、毎回思いっ切り楽しみにいらして下さいね!

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お話の中から、歌手として、演技者として、そして〈オペラ人〉として
充実した時間を送られていることを実感しました。
〈今〉の樋口達哉さんの素晴らしいパフォーマンスを体験できる幸せ!
彼から溢れ出る歌う喜び、演ずる喜び、舞台に立っている喜びのパワーは、
そのまま観客の私たちにもに大きな〈喜び〉となります。
紀尾井町サロンホールの親密な空間でどうぞ樋口達哉の魅力をお楽しみください。

コンサート情報

樋口達哉  Passione~情熱~  サロンコンサート
3月30日(木)
開場13:30 開演14:00

ピアノ:金井 信

華やかで力強い美声、
抜群の演技力で日本オペラ界を牽引するテノール歌手・樋口達哉さん。
70名限定の親密な空間でオペラ、カンツォーネ等、ジャンルを超えた名曲を
Passione(情熱)を込めて歌い上げます。特別なひと時を紀尾井町サロンホールで

 

チケット料金 〈全席自由〉7,000円 ※70名様限定

ご予約はこちらから  https://kioichosalonhall.com/shop/products/detail/39

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本公演はチケットレスとなっております。当日受付にてご購入がわかるメールのプリント、メール受信画面をご提示ください。万が一、確認がとれるものをお忘れの際は、お名前がわかる身分証明書等を当方のリストと照らし合わせをさせていただきます。身分証明書のご提示がない場合はご入館できない場合もございますので、お気を付けくださいませ。


出演者プロフィール

■樋口達哉〈テノール〉

福島県出身。武蔵野音楽大学卒業および同大学院修了後に渡伊。カルーソー国際声楽コンクール最優秀賞。ハンガリー国立歌劇場『ラ・ボエーム』でデビュー後、ミラノ・スカラ座に出演する他、メトロポリタン歌劇場管弦楽団、モンテカルロ・フィルハーモニー交響楽団等と共演。その他、ボルドー歌劇場(フランス)、パリ・マドレーヌ寺院でもコンサートに出演するなど各地で出演を重ねる。2010年には、ミラノ大聖堂、サン・ピエトロ大聖堂(ヴァチカン)において成功をおさめる。2014年にはイタリアとサン・マリーノ、2018年、2019にはパリにてリサイタルを開催。
国内においても新国立劇場、二期会を中心に日生劇場、びわ湖ホール等で主演する。最近のオペラ出演も目覚ましく、2021年『サムソ ンとデリラ』(二期会)、『メリー・ウィドウ』(兵庫県立芸文)、2022年『エドガール』(二期会)、『道化師』(自身プロデュース)、『外套』(九響)、『ラ・ボエーム』(藤沢オペラ)等で高評を得る。
コンサートにおいても「第九」はもとより、「NHKニューイヤー・オペラコンサート」「題名のない音楽会」等メディアでも活躍。
イタリアの太陽を想わせる輝きのある声と華のある舞台姿で多くのファンを魅了している日本を代表するテノール。
ソニーより3枚のソロアルバムをリリース。二期会会員。出身地・二本松市の観光大使。
2023年2月・二期会『トゥーランドット』、5月、三河市民オペラ『アンドレア・シェニエ』、10月・二期会『ドン・カルロ』に出演予定。

■金井 信〈ピアノ&編曲〉

慶應大学文学部哲学科、東京藝術大学声楽科、尚美高等音楽学院作曲科卒業。ネステレンコ、オブラスツォワ、佐藤しのぶ、錦織健、森麻季、樋口達哉、高野二郎、The JADE、又吉秀樹、榛葉樹人ら内外のクラシック歌手の他尾崎紀世彦、森山良子、村井國夫、高汐巴、渡辺真知子、平澤仁、外囿祥一郎などジャンルを越えて共演。歌心溢れる柔軟な音楽性、ハイセンスなアレンジ力は特筆される。作曲家としてもミュージカル「あした天使になぁれ」「ファミ☆レス」、歌曲「大きなバラ」「Ave Maria」、リコーダー組曲「ヒマラヤの四季」などを発表。東洋英和女学院大学講師。日本ドイツリート協会会員。