2022年9月15日木曜コンサート「明珍宏和バリトン・リサイタル」

木曜コンサート9月15日は、バリトン歌手 明珍宏和の魅力をあまねく深く披露いたします。マチネ公演では明珍さんがライフワークと宣言したF.シューベルトの歌曲。今回は『美しき水車小屋の娘』全20曲をピアニスト・圓谷俊貴さんと。ソワレ公演は冨平安希子さんをゲストに迎え、W.A.モーツァルト『魔笛』、E.フンパーディンク『ヘンゼルとグレーテル』、R.シュトラウス『インテルメッツォ』などのオペラからの重唱を菊地沙織さんのピアノでお届けします。充実のプログラムを紀尾井町サロンホールならではの親密な空間でお楽しみくださいませ。
公演にさきがけ、明珍宏和さんにインタビューをさせていただきました。(文中一部敬称略)

配信されている動画を拝見いたしました。クラシックだけではなく、歌謡曲、シャンソンなどいろいろなジャンルの歌を深く響く豊かな声で歌われていて、とても楽しかったです。
明珍さんの歌との出会い、声楽家を志されたのはどんなきっかけがあったのでしょうか。
音楽大学からその後のプロの演奏家へ進む道のりなどをお話いただきたいです

明珍さん:色々と聴いて下さい ましてありがとうございます。歌との出会いは日常生活からだったと思います。父も母も、またよくお世話になっている母の兄も、皆さんよく演歌、歌謡曲を歌っていました。小さい頃からそういう曲を聴いたり実際歌ったりしてきた経験が、三つ子の魂百まで、ということで残っていったのだと思います。小学生の頃、近くの本屋さんでチャイコフスキーのCD がとても安く売っていたので買ったのがクラシック音楽との出会いでした。ピアノ 協奏曲1番だったと思うのですが、クラシック音楽の壮大さに明珍少年の心は奪われてしまい、雷に打たれたように衝撃を受け(実際打たれたらどうなる かわからないですが)、そこから音楽家を目指すようになりました。
中学校に入り、自分は音大に行くんだという決意のもと高校生活を送りましたが、芸大受験に失敗し(笑)、東京音大で大恩師である太刀川悦代先生の下で必死に勉強致しました。大学4年生頃まで変声期が終わらず、全くまともに歌が歌えなかったということもあり、そこまでプロの演奏家になろうとは本気で思っていなかったのですが、 大学4年生頃に変声期が完了して、しっかりと色々歌える様になってきてから欲が出てきて(笑)、色々と挑戦してみようと思ってきました。しかし人生そううまくいくことなく、ことごとくいろいろな試練に直面し、挫折しておりました。折れるところがないところまで折れ、粉々になった自分をこの7年間位でまた作り直している時に、いろいろな人達との出会いがあり、自分が演奏家になりたい、という思いや欲よりも、求められていることに応えよう、今流れている流れに乗っていこう、と自利を求めないでやっていくうちに、なんとなく演奏家としてやっていけるようになりました。
おそらく他の仕事は出来ないような性格なので、逃げに逃げて、音楽家になってしまったという意見も自分の中ではあるのですが、そこまで現実の人生に向き合うことから逃げさせ、私を生き永らえさせてくれるこの音楽という存在が、本当にありがたく、人との出会いや、繋がりを強く感じさせてくれる、孤独感や、心がもやもやしてくれるような状態から開放させてくれる、本当に貴重な仕事なんだということをこの所のコロナ禍を通して強く感じています。
演奏する「美しき水車小屋の娘」は右も左も分からない、声もまともに出ない明珍青年が、太刀川悦代先生と一緒に勉強させていただいた、本当に思い入れ、思い出のある曲です。大学を卒業した時に開催したリサイタルも、この曲集を歌いましたが、 今思い返しても あまりにも難しいので、上手に歌えた記憶がありません。
今回はわたしの今までの人間との出会いや別れ、そういった経験を通した人生観を、シューベルトの音楽に乗せながら表現できたらいいなぁと思っております。

所属なさっているコンサートイマジンさんが発信している10 年インタビューの中で、これからのライフワークとして【シューベルトの歌曲】を挙げてらっしゃいましたが、明珍さんが惹かれるシューベルトの魅力をお聞かせください。

私の思うシューベルトの魅力というのは、人生観を曲の中に本当に上手に織り交ぜているところにあると思います。31歳で亡くなっているということは若いうちから病気に悩まされ、晩年の曲などはとても同世代とは思えないような悟りや哲学を感じます。また音楽家はいつの時代も同じようなことで悩まされ、葛藤しているんだということをシューベルトの資料を見ていると知ることが出来るのですが、この数百年の時を超えて、またコロナ禍を通して改めて 啓示されている様な感じを覚えております。私の個人的な趣味で、不変的な物にものすごい魅力を感じるのですが、シューベルトの作品は生まれた時から今まで、ほとんど解釈や演奏方法など変わることなく 歌い継がれ 、もともとの形が人々に愛され、残ってきたということが歴史的事実から判断することが出来ます。シューベルトの人生観、いつでも隣に「病気で死ぬかもしれない」という事を感じながら生きている死生観、そういったシューベルトの哲学が、全く形を変えず残っているというのは、どの時代の人たちにも通じる人間の感情や思いに寄り添って、わたしたちの心に訴えかけるなにかがあるのであろうと思っております。
日常というのは毎日同じことの繰り返しで、朝起きて、ご飯を食べて、 働いて、ご飯を食べて、寝て、朝起きて…となると思うのですが、 ベートーヴェンやシューベルトの得意技である、 繰り返しの中にある小さな機微を、大きなうねり、物語に変えていくという事は、日本の禅に通ずるところもあるのではないかと思っています 。

シューベルト以外にお好きな作曲家はいらっしゃいますか。またほんとうにたくさんのレパートリーをお持ちでらっしゃいますが、特に大事になさっている楽曲、人生を変えた楽曲などがありますか。
尊敬する演奏家、目指してらっしゃるバリトン歌手がいたら教えてください。

シューマンの異常な世界観が大好きです。またそのシューマンのことや、シューマンの作品群を愛していたクララ・シューマンも大好きです。シューマンの作品はクララという存在がいて完結するという関係性が、音楽そのものだなぁといつも思っております。
バリトン歌手のレオ・ヌッチのリゴレットやセヴィリアの理髪師を生で聴いたときには衝撃を受けました。ベルリンで聴いたアンドラーシュ・シフ、パリで聴いたマーク・パドモアの演奏も大変衝撃を受けました。しみじみクラシック音楽はいいなぁと思った瞬間でもあり、なんてすごいものに自分は取り組んでしまっているんであろうかという畏怖も覚えました。
大事なレパートリーは歌曲全般です。歌曲はオペラと違って派手ではありませんが、その一曲の中で確実に誰かが人生を過ごしていて、細かいところまでの表現があります。例えばテーブルにおいてある鉛筆のメーカーまで表現されている、みたいな感じです。ものすごい細かい事なのですが、そういうところまでこだわって考える時間を与えてくれる歌曲という存在が、自分と向き合い、見つめ直すきっかけを与えてくれているような気がします。よく音楽との対話、というのですが、音楽を通して、自分が今どういう状況にあるのか、どうなっているのかを教えてくれているような気がします。
尊敬している演奏家はバリトンの今井俊輔さんです。
わたしはオペラの舞台から本当に遠ざかっていて、この何年もオペラの現場に出るということが なかったのですが、去年、日生劇場 の公演でご一緒する機会があり、今井さんのその大きな背中をずっと見ていたのですが、本当に素晴らしい歌手です。個人的な話になってしまいますので詳しくは書けませんが、音楽家、人間としての生き方にとても魅力のある方で、世界一大好きなバリトン歌手です。音楽を通して、こういう風に思える方に出会えたということもわたしにとっては大変な財産だと思います。今井さんは YouTube でもその魅力を存分に発揮しておられますので、ぜひご覧ください。

今回の「明珍宏和バリトン・リサイタル」で共演されるピアニストの圓谷俊貴さん、菊地沙織さん。ソプラノの冨平安希子さんをご紹介くださいませ。

圓谷俊貴さんはプロムジカ・コンティヌオ株式会社という古楽演奏を専門にしている会社を経営(代表取締役)しており、本人もチェンバロのスペシャリストです。もともとテノール歌手をやっていた方なので、歌の人の呼吸をよく理解されています。アンサンブルというのはお互いの意思疎通が取れないとなかなか難しい事になってくるのですが、そういった情報伝達の能力がものすごく上手い、ああこうと説明しなくても空気感を理解してくださる本当に素晴らしいピアニストです。またドイツへ学びに行っていたということもあり、ドイツ語圏の言語などにも精通しているので、言葉、詩から湧き出る音楽の表現も大変素晴らしいです。
菊地沙織さんともよく舞台をご一緒していただくのですが、いつも柔軟なお心で要望にお応えしていただくことが多く、また、歌の人だけではなく、他の楽器の方が入ったりしてのアンサンブル公演が多いのですが、いろいろな個性がある中でも皆さんの意見を聞き入れ、それをいいようにまとめ上げるというアンサンブルの極めて要になる事をやってくださっています。菊地さんもパリに留学していたということもあり、楽曲へのアプローチの仕方も似ているというか、よくわかっていただけることが多く、大変いつもお世話になっております。
冨平安希子さんは去年の日生劇場オペラ公演「ラ・ボエーム」でご一緒させて頂きました。ムゼッタ役を演じられていたのですが、本当に素晴らしいオペラ歌手の方で、役に声を合わせていく(その逆も然り)というのもオペラ歌手の仕事のうちの一つだと思いますが、そういった過程の作り方を、わたしはマルチェッロ役のアンダースタディーで稽古を見ていることが仕事だったので、本当に楽しく見させて頂きました。冨平さんの歌はもちろん素晴らしいですが、人柄も本当に素晴らしく、コロナ禍で本当に大変な日々ではありましたが、そういった鬱々とした日々を忘れるくらい毎回の稽古がとても楽しく、周りの方々へのお声がけなど、本当に明るくなっていく様子を何度も垣間見ました。冨平さんはドイツの劇場で修行していたということもあり、ドイツオペラのレパートリーが幅広く、ソワレ公演の最後に予定しておりますR.シュトラウスの「インテルメッツォ」は日本では1度しか上演されていないものではありますが、非常に面白いオペラで、こういったオペラの重唱がコンサートではありますが、素晴らしい共演者の皆様と出来るということが、わたしにとって大変な喜びであります。

圓谷俊貴さんとのリサイタル映像

 

マチネ公演は『美しき水車小屋の娘』20 曲全て、ソワレはドイツ語音楽の歌曲、オペラと充実のラインナップは、是非、昼夜通してお客様に体験していただきたいですね。
特に注目してほしい〈聴きどころ〉などがあったら教えてください。

マチネ公演のプログラムの「美しき水車小屋の娘 」は ヴィルヘルム・ミュラーの実話的創作話で、今現在、世の中で起きている諸問題というのが、実は19世紀のヨーロッパでも起きており、ブラック企業問題であったり、雇用形態問題であったり、若者のやりがい搾取問題であったり、今に置き換えても全く同じようなことが起こっていたということが読み取ることが出来ます。
希望に満ち溢れて就職したものの、理想が見事に打ち砕かれ、やがては自殺してしまう。
その「死」という事実に救いが有るか無いか、それが大きな問題なのですが、シューベルトの音楽は、その若者にとっての救いになっているような気がします。どういう移り変わりでそうなっていくのか、その機微を聴いていただければ幸いです。
ソワレ公演のプログラムは、同詩異曲の歌曲から重唱の歌曲、ドイツオペラというプログラムになっております。
同じ詩でも曲によって全く世界観が異なり、ドイツ語の言葉の響きそのものが音楽になっていくという楽しみを。
重唱というのはオペラだけにあるものではなく、実は歌曲の重唱も数多く存在します。
当日はその一端を皆様に聴いていただけましたら幸いです。
イタリア・オペラとは一味違う、ドイツオペラ独特の音楽構成や、がっちりした重厚な響きの素晴らしさ、声とピアノが折り合わさっていくようなアンサンブルを味わっていただけましたらと思っております。

これだけの重量感のあるプログラムをこなす明珍さんの体力維持の秘訣はありますか
また、音楽以外でお好きなことなど興味のあることなどありますでしょうか

とにかく毎日精神的に大きな変化がないように ということだけを心がけています。病は気から、というのはあながち嘘ではないと思っております。

音楽以外での興味関心はあまりにも多く、自分でもどれだけの興味や趣味があるのかを良くわかっておりません。この何年かは季節物、夏は桃などを追いかけています。さくらももこマニアである、ということも否めません。仏像など、古い東洋の造形物も心をくすぐっております。色々なグッズを集めるのも趣味で、大変な量の小物類が家の中を占拠しています。そのうち「 明珍 蒐集物 博覧会 」をやろうと思って おります。かなり貴重なものも沢山あります。

今後お考えになられている演奏活動の展望、本業以外でチャレンジなさりたいことをお聞かせください。

 演奏活動の展望というのは出来ることをやっていくしかないと思っているので、 ひたすらに自分のできることを追い続けていこうと思っています。本業以外でやりたいことは、頑張っている人を勝手に表彰するという 「 あんたが大賞 」という賞を勝手に送りつけるということを やりたいと思っています。人間は日頃生きていることが大変な割に、誰かに褒められたり、 表彰されたりすることが極端に少なすぎると思うので、 積極的に褒めて、称えて、表彰する、ということを頑張って生きている人に対して出来たらいいなと思っています。
また、児童養護施設への支援や、海外の貧困で困っている国を支援している団体への寄付や、周知活動もしております。実は見えないところでこんな事をしている人がいる、ということを誰かに知ってもらえるだけでも、何かを考えるきっかけになるのではないかと考えています。大変な世の中だからこそ、少しでも助け合いながら、いろんなことに寄り添っていければ、もっと良い世界になっていくのではないかという可能性を探っております。

最後に、当日を心待ちにしていらっしゃる方々にメッセージをお願いします。

コンサートへのご来場をご検討くださいまして誠にありがとうございます。
ドイツ語圏の音楽は、なかなか一般的には難しいとされているものが多く、敬遠されがちではあるのですが、大変奥ゆかしく、表現、色彩豊かなものが多く、気質的にも日本人と少し似ているところがあるので、本質的なところを理解して聴いていただくことが出来る曲が多いのではないかと思っております。
今回取り上げます曲の数々も、作曲家や、作詞家が その時代を生きた証として、燦然と輝いている曲の数々です。そういった人々の思いや、熱意をわたしが 100% お伝えすることが出来るかは定かではありませんが、きっと共感して下さるのではないかと信じて皆様にお伝えいたします。
数百年の時を超えて、素晴らしい作曲家が残していった哲学の扉を、一緒に開けて垣間見ることが出来ましたら幸いです。

〈明珍宏和さん 公演情報〉

9月29日(木) ルネこだいら ランチタイム・コンサート Vol.50 もっと気軽に音楽を・・・。                      「時代を彩った懐かしの名曲コンサート ~オペラから歌謡曲まで~」                                  ルネこだいら大ホール 【公演URL】http://www.runekodaira.jp/events/d00455.html

【浅草オペラ】                                                          10月10日(月)~25日(火)「歌と活弁士で誘う ああ夢の街 浅草!」                                 浅草東洋館 http://www.concert.co.jp/concert/                                              ※10月11日(火)、14日(金)、19日(水)、22日(土)に出演

 

2022年9月15日 木曜日   明珍宏和 バリトン・ リサイタル
Matinee 開場13:30 開演14:00 / Soiree 開場18:30 開演19:00

ドイツ語音楽の魅力を総曲数40曲でお届けします。

Matinee 開場13:30 開演14:00 / Soiree 開場18:30 開演19:00

〈チケット〉■マチネ/ソワレ各公演  一般¥4,000 学生券¥1,000
■マチネソワレ通し券  一般のみ¥7,000(税込・自由席)

コンサートのご予約はこちらから https://kioichosalonhall.com/shop/products/detail/28

本公演はチケットレスとなっております。当日受付にてご購入がわかるメールのプリント、メール受信画面をご提示ください。万が一、確認がとれるものをお忘れの際は、お名前がわかる身分証明書等を当方のリストと照らし合わせをさせていただきます。身分証明書のご提示がない場合はご入館できない場合もございますので、お気を付けくださいませ。

【Matinee】(14時公演☆13:30開場)
F.シューベルト「美しき水車小屋の娘」全曲Op.25 D795

【Soiree】(19時公演☆18:30開場)
2対の歌曲 ~同詩による異曲~
F.シューベルト 魔王
L.V.ベートーヴェン 魔王 /他
Duo -à la Carte-
A.ドヴォルザーク 「モラヴィア二重唱曲集」より
W.A.モーツァルト オペラ「魔笛」より
E.フンパーディンク オペラ「ヘンゼルとグレーテル」より
R.シュトラウス オペラ「インテルメッツォ」より /他多数
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明珍宏和(バリトン):東京音楽大学卒業。二期会オペラ研修所を特待生として修了。2015年~2018年べルリン、パリへ遊学。2015年にロバート・クラウダー基金に招聘されアメリカ・ロサンゼルスの日米文化会館(アラタニ劇場)でリサイタル、2017年に同じくロサンゼルスにあるウォルト・ディズニー・コンサートホールに於いて行われた日米文化会館主催、日米交流コンサート「Bridge to Joy」にて、日本人で初めてL.A.フィルのベートーヴェン交響曲第九番のバリトンソリストを務める。18歳から始めた各地でのリサイタルは現在500回を超える。NISSAY OPERA 2021『ラ・ボエーム』にマルチェロ役のアンダースタディとして参加。練馬音楽家協会会員。また世界における貧困、紛争問題の解決の糸口を探るため、パキスタン、アフガニスタンにおける医療活動、水道、灌漑事業を行っているPMS(ピースジャパンメディカルサービス(平和医療団日本)=ペシャワール会への支援や、日本の児童への平等な生活環境保全のため、児童養護施設に入所している子供への支援、寄付などを行っている。

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圓谷俊貴 (ピアノ): 福島県古殿町出身。チェンバリスト・ピアニスト。古楽オーケストラ『 プロムジカ使節団』Promusica Baroque Academyを主宰し通奏低音および指揮を務める。4歳よりピアノ・18歳より声楽・20歳よりチェンバロを学び、東京藝術大学音楽学部声楽科テノール専攻、同大学器楽科古楽チェンバロ専攻の2つの科で学び両科ともに卒業。《アンサンブル室町》メンバー、《オルケストル・アヴァン=ギャルド》理事及び通奏低音奏者。また、ピアニスト、コレペティートルとしても評価が高く、様々な歌手や奏者がその共演者に指名。第88回日本音楽コンクール木下賞《共演》受賞。声楽を鈴木寛一、Gerd Türk、Rufus Müller、野々下由香里の各氏に、チェンバロを大塚直哉の各氏に、ピアノとフォルテピアノを小倉貴久子氏に師事。Promusica Continuo Co., Ltd. 代表取締役を務める。

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冨平安希子(ソプラノ):東京藝術大学卒業、同大学院オペラ科修了。明治安田生命クオリティオブライフ助成金を受け渡独し、シュトゥットガルト州立音楽大学オペラ科を最優秀の成績で修了。その後ドイツの名門バイエルン州立歌劇場のオペラ研修所に合格し、同劇場にて様々な演目に出演、研鑽を積む。ドイツ各地の劇場で演じた『フィガロの結婚』スザンナ役、『メリー・ウィドウ』ヴァランシェンヌ役等は各紙で好評を博した。国内では『魔笛』『魔弾の射手』『金閣寺』『後宮からの逃走』『フィデリオ』等、東京二期会主催の演目に数多く出演。昨年8月に出演した東京二期会『ルル』題名役では、新たなルル像を示し高い評価を得るなど、ますます評価を高めている。NISSAY OPERA『ラ・ボエーム』にはムゼッタ役で出演。また、宗教曲、各コンサートにてソリストを務める他、ドイツリートなど歌曲の演奏においても定評がある。今年11月には日生劇場にて東京二期会『天国と地獄』ユリディス役で出演予定。表情豊かな声質と華やかな舞台姿、卓越した演技力で活躍を続ける。二期会会員。

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菊地沙織 (ピアノ):ソリスト、アンサンブルピア二スト。仙台市出身。武蔵野音楽大学器楽学科ピアノ専攻卒業のち同大学大学院修了。2007年よりフランスに渡り、エリック・ベルショ氏のもとパリ・エコールノルマル音楽院にて最高学年演奏家課程修了、またラヴァルシュヴルーズ音楽院にて室内楽を首席修了する。パリ市内にてソロリサイタル、室内楽コンサートを行い好評を博す。2009年に帰国後は東京を拠点とし、ソリスト、アンサンブルピアニストとして本格的に活動を開始する。ソリストとしては、ポーランド・シレジアフィルなど海外オーケストラとの共演をはじめ、日本のみならず、スイス、オマーン、ルーマニアなど海外においてもコンサートに多数出演する。またアンサンブルピアニストとして、財団法人サントリーホール・オペラアカデミーに在籍し、ジュゼッペ・サッバティーニ氏のもと研鑽を積む。声楽、弦楽器、管楽器との共演をメインとする他、都内合唱団の常任ピアニストをするなど合唱・オペラの分野のレパートリーも幅広く持っている。音楽之友社「桜色」はじめ、学校教科書のCD録音にも携わる。コンサートやイベント出演は多岐にわたり、ホテルでのコンサートイベントや客船”ぱしふぃっくびいなす”、2020年は”飛鳥II”に乗船しコンサートを行う。同年日本最大級の作曲イベントBEAT GRANDPRIX ART MOVIE GUEST ACT、同MOVIEにてYAMAHA MUSIC JAPANの製品CMソングに起用された。