音楽をはじめられたきっかけについてお話いただけますか?

穴田:小さい頃はピアノを習っており、また両親もクラシック音楽がとても好きで、いつも家の中でクラシックのレコードが流れている環境で育ちました。そんな中、ちょっとクラシックに嫌気がさして、もうやりたくないと思った時期もあったのですが、中学生の時に家にビートルズのオールディーズというレコードのカセットを見つけて聞いた時、改めて音楽って面白い、またやりたいなと思ったのがきっかけだったように思います。

ヴァイオリンをしましたが、チェロをやってみたらと勧めてくださった先生が身近にいらしたこともあり、チェロを始めました。それからは、素晴らしい音楽家や演奏家との出会いや、いままでいろんなコンサートに出演してきて、チェロは自分を幸せにしてくれた楽器だと思っています。イメージより身近なチェロをたくさんの人が弾いてもらえたらとも思います。

音楽家として生きていきたいとお決めになられた出会いや出来事など、おありでしたか?

穴田:もともと子供の頃から絵を書いていて、今も絵を描くことを常に続けているなか、表現できる仕事のひとつとして描いています。

絵の個展をしたりしていますが、音楽も自分にとって重要ですが、たとえば芸術家がどんな生き方をするのか、ということに一番興味がありました。先程のビートルズがそうですが、曲はもちろん好きですが、すごい名声を得た上にあぐらをかかないで、色々実験的なことを、クリエイティブなことに垣根なくやっていったというところをリスペクトしたり、音楽を通して、色々な視点で何か自分に出来ることはないだろうかと考えたり、ゲルハルトリヒターやミロなど、芸術家の生活や生き方から自分が音楽を続けていくということにつながっています。

音楽をしたことは運命的でしたので、それにそって生きていくというか、周りの素晴らしい方々の生き方を見て、自分もこれしかないと思いました。ただ、それは自分だけでは成り立たないので、僕がやっていることに興味を持って下さる方がいることで成り立っていると思います。

今回のコンサートのチラシには穴田さんの絵が使用されておりますが、チェロの演奏や絵の制作など、ものを創り出す、創造の源はどのようなものから感じられますか?

穴田:日常生活の中から感じたことをより違う視点で考えてみたり、妄想や想像を繰り返しています。変なのだろうと思います。眠そうにしている時はそんな感じです。その日に刺激的なことがあったりすると、ひらめいて一気に制作が進んだりということはあります。ただ一人でじっとしていても大抵だめで、近くの有名でもない近所の小さな公園や、行けるなら小さな山など自然の中とか、あとは人と話したり、何気なく過ごす中であったりだと思います。

今回は映像作家の中村浩之さんをお迎えし、音楽と映像のコラボレーションも楽しみですが、まずお二人の出会いについてお話し頂けますか?

穴田:僕は自分がやりたいことを続けていたなか、20代の中頃にブログで絵のことや、自分の考えていることなど書いていたのを、中村さんが読んでくださって、「こんなことをやりたいんです。」とメールをくれたのが、知り合ったきっかけです。、その後、中村さん作曲の楽譜が届いたら、けっこう尖っていて(笑)

中村:13年前位に普通のクラシックのチェリストではなく、面白い活動をされている方いないかなと探していたときに、絵の個展をやったり、自分でコンサート企画したり、すごくアグレッシヴな方がいるなと思って穴田さんに興味をもって連絡しました。初めはオリジナルの曲をコントラバス、ピアノをいれてジャズっぽかったり、クラシックやったり、後には電子音楽をいれてクラブで演奏するようになったりしました。

中村さんはピアニストでいらして、映像を初められたきっかけはどのようなことでしょうか?

中村:僕の家系はもともとアマチュアですが絵描きの家系で、自分も絵を書いていたんですが、周りが上手なのに、なんで僕はできないのだろうと、ちょっとコンプレックスがありました。穴田さんみたいな人と何かやるには、父がシステムエンジニアだったこともあり、もともと得意ではなかったけれども出来るはず(笑)というところでコンピューターグラフィックスを使うようになって2年位になります。

コンピューターグラフィックスは、可能性がたくさんある分野でこれからどんどん進化して、音楽ともいろいろな新しい試みが出来そうですね。

穴田:昔は機材も人もたくさん使わなきゃということが多かったと思いますが、今はもっとコンパクトに出来ますし、なにより中村さんは音楽がわかる人ということで、信頼が出来るんです。ピアニストの古川かりんさんとも、10年単位で信頼して仕事も重ねているので、そんなお二人となら、新しいことでも、いいものが出来るはずと思っています。

最後にコンサートを心待ちにされていらっしゃるお客様にメッセージをお願い致します。

穴田:今回エルガーの作品を通し、自分が曲にこめられたメッセージを人に伝えたいというのがあります。前半、後半では違う形を作りたいと思っており、前半は中村さんの映像と古川さんのピアノとチェロの小品を皆様に見て頂きたく、後半のほうはエルガーのチェロのための作品と僕が用意、その詳細は当日のお楽しみとして、舞台上で楽しんで頂きたいです。

中村:映像と音楽というと、映像が強くなりがちになるのが嫌なので、穴田さんがやりたいことに合わせて、いらないところは削って、音楽のためにある映像にみえるように、頑張りたいと思っています。

穴田貴也 instagram https://www.instagram.com/anadatakaya/
中村浩之 instagram https://www.instagram.com/nakahiro0724/

コンサート情報

アーク紀尾井町サロンホール主催シリーズ 木曜コンサート
穴田貴也 チェロ弾く日

2021年11月25日 木曜日
開場18:30 開演19:00

前売 2500円
当日 3000円

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出演
チェロ 穴田貴也
ピアノ 古川かりん
映 像 中村浩之

主催 アーク証券株式会社 ・ 紀尾井町サロンホール運営事務局(株式会社ミリウテラス)