声楽をはじめられたきっかけについて、お聞かせ頂けますか?
まず初めにこのような機会を下さった紀尾井町サロンホールの皆様、河原先生に心から感謝しております。
元々音楽科のある高校に入ろうとしていたのですが、当時吹奏楽が大好きでユーフォニアムを頑張っていたので器楽で受けようとしていたら面接の時に喋った瞬間〝歌の方が良いんじゃない?〟との事でいつの間にやら歌になってました。なので最初は本当は楽器がやりたいのに!!…と半ば不満を募らせつつの声楽スタートになってましたね…!
演奏家を志す過程で、ご自身の支えとなった恩師や応援してくださる方々からのお言葉、印象深い出来事などございますか?
自分自身なんというかまぁ情けないというか色々恥の多い人生というか不器用の極みなのでそれはもう家族や恩師の皆さんに沢山支えてもらって、応援もして頂いてますが幾つか挙げるとすれば、今お世話になっているイタリアの劇場で歌手のキャスティングなども務めるエレナ・リッツォ先生に初めてレッスンをして貰った時に〝Sei veramente basso!!〟君は絶対にバス!…と認めて貰えた事でしょうか。日本だと色んなコンクールでバスとして入賞させて貰ったりしたので今でこそあまり言われませんがそもそもバスという事を認めてくれない、もしくは嘘つきのように言われる事もありましたので…。それを加味するとロシアものの師である岸本力先生の〝僕はバスの声に誇りを持ってるだから奥秋くんもバスの声に誇りを持って〟…と言って貰えたのはバスとして歌っていく勇気を授けてくれました。
東京音楽コンクールではバス歌手としては初の3位入賞とのこと、おめでとうございます。今後のご活躍も大変楽しみな奥秋様ですが、コンクールに臨まれる際にご自身で心掛けられることなどございましたら、教えて頂けますか?
ありがとうございます!バスは日本のコンクール史を調べても母数が少ないのもありますが、そもそも本選まで残るのが珍しく、入賞してる方も少ないですしコンクールによってはそれこそ歴代にバスの入賞者がいない事もざらです…なので本当に奇跡的な事だなぁと。
心掛けてること、と言われるとなんとも難しいのですが、コンクールだとあらゆる声種の中で歌わねばならず、なかなかコンクールでも映えるようなソプラノやテノールのような華やかな作品もバスには役どころ的にも少なく、声の成熟時期とコンクールを受けられる年齢の乖離もあるのであくまで〝若いバス〟としてこれからの成熟がある、伸び代などを見てもらえるように心掛けておりますね。兎に角現時点で出来る事、努められる事をしっかりと歌に込められるように努力しております。
これから先、演奏家としてもしくはプライベートでチャレンジされたい事などおありでしょうか?
海外留学ですね!日本はバスの母数も少ないので…自分がバスとしてヨーロッパや他の国でどんな風に評価されたり成長出来るか、心から挑戦したいです。コンクールなどでも海外だとバスの方も沢山いますし評価もまた日本とは違ってくるかと思いますので。
お忙しい日々をお過ごしかと思いますが、音楽以外でお好きな時間の過ごし方はございますか?
この年齢のバスにしてはちょこちょこ仕事を頂けており、ありがたい限りです。とは言えもっと頑張らないといけませんが…良い意味でもっと忙しくなりたいなぁと。音楽以外だと基本ボーッとしてますが自然を眺めたり、神社とかにいったり自然の多いところでのんびりするのが好きですね…!でもインドア派なので普通にゲームとかも好きですが!
今回のコンサートはソプラノの林様、ピアニストであり、お話しもしてくださる河原様とのご共演とのこと、心待ちにしてくださるお客様へどういったコンサートになりますか、最後に聴きどころ見どころなどを教えて頂けますか?
聴きどころ、見どころというとなかなか一概には言えませんが、もしも演奏会で念頭に置いてもらって聞いて頂けるなら20代の若いバスの声、ソプラノの声そしてそれを懐の広い音楽とその知識で昇華してくださる河原先生の手腕、ピアノを楽しんで頂けたらと。そしてこれからより成熟していくその分水嶺を眺めてもらえるようなそんな未来を感じるリサイタルに出来たらなぁと思っております!
コンサート情報
アーク紀尾井町サロンホール主催シリーズ 木曜コンサート
奥秋大樹バスリサイタル
2021年11月18日 木曜日
開場14:30 開演15:00
チケット ¥5,000(全席自由)
■出演
奥秋大樹 バス
林 真悠美 ソプラノ
河原義 お話し/ピアノ
■プログラム
First Stage
A.Boito “Mefistofele” Ave signor, Son lo sprito che nega, Ecco il mondo
W.A.Mozart ”Don Giovanni” Madamina, il catalogo è questo Non mi dir, bell’idol mio
G.Puccini ”Le villi” Se come voi piccina / G.Rossini ”Il Barbiere di siviglia” La calunnia è un venticello
G.Puccini ”La Bohème ” Quando me’n vò / G.Verdi ”Don Carlo” Ella giammai m’amò
Second Stage
G.Puccini ”Tosca” Highlight
■チケット・お問い合わせ
プッチーニのプロフィール事務局
Tel : 090-6014-6038(河原) ・ 090-6024-5723(石川)
Mail : pucciniprofile@gmail.com
■出演者プロフィール
奥秋大樹 バス
山梨県出身。甲斐清和高等学校音楽科第16期生、武蔵野音楽大学声楽専攻卒業、武蔵野音楽大学大学院声楽専攻首席修了、第88回日本音楽コンクール声楽部門(オペラ)入選、第48回イタリア声楽コンコルソ金賞受賞、第2回ロシア声楽コンクール学生部門第1位ならびに翌第3回ロシア声楽コンクール一般部門第1位入賞。その他各種コンクール上位入賞多数。オペラでは〝リゴレット〟スパラフチーレ役〝セビリアの理髪師〟ドン・バジリオ役、〝ドン・ジョヴァンニ 〟騎士長役など。宗教曲などのソリストとしてはロッシーニ スターバト・マーテル、ベートーヴェン交響曲第9番、ヴェルディ,フォーレ,モーツァルト レクィエムなど。声楽を亀井陽二氏、岸本力氏、Luther-H.Ichimura氏、高橋達也氏、Elena Rizzo氏に師事。
林 真悠美 ソプラノ
群馬県出身。幼少期よりピアノ、ソルフェージュを習い、9歳で地元の高崎市民ミュージカル「トラップ一家物語」四女ヨハンナ役でミュージカルデビュー。歌唱、芝居、ジャズダンス、クラシックバレエなどの研鑽を積み、2011年ハウス食品ミュージカル「小公子セディ」ディック役にて全国巡業公演に出演する。フリースピリット音楽芸能学園芸能専攻マルチタレント科卒業。武蔵野音楽大学音楽学部声楽学科卒業。同大学院音楽研究科修士課程声楽専攻修了。大学ではオペラ声楽を学び、オペラ作品の主な出演作には、チマローザ作曲「秘密の結婚」エリゼッタ役、シュトラウス作曲「ナクソス島のアリアドネ」アリアドネ役、プッチーニ作曲「トスカ」トスカ役がある。現在は舞台出演の傍ら、舞台製作や歌唱指導にも関わっており、自身の音楽教室「Forest Music College」を立ち上げ講師業にも励んでいる。第3回K声楽コンクール奨励賞。第28回日本クラシック音楽コンクール第2位。
河原義 お話し/ピアノ
イタリア、パルマ アリゴ・ボイト音楽院附属中学校、パオロトスキ芸術高等学校、アリゴ・ボイト音楽院卒業。ピアノをフランチェスコ・ディラーギ、クラウディア・テルミニ、ロレンツォ・バヴァーイ各氏、指揮法をピエトロ・ヴェネリ氏、作曲法をファブリツィオ・ファンティチーニ氏に師事。2001年よりイタリア、サンタフィオーラ・イン・ムージカにおいて、シカゴ交響楽団、ウィーン交響楽団、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、コンセルトヘボウ管弦楽団の主席奏者の伴奏ピアニストを務める。2007年より小澤征爾音楽塾、パルマ王立歌劇場、フィレンツェ五月音楽祭歌劇場、東京二期会、兵庫県立芸術文化センター、びわ湖ホール、オペラノヴェッラのオペラ公演において、音楽アドバイザー、コレペティトール、イタリア語言語指導を務める。トヨタコミュニティオペラ副指揮者。「安さんぶるChainon」「混声合唱 ひがし混声」 「混声合唱さわらび」「女声三部合唱 藍」 「女声三部合唱フェリカ」指導員。「プッチーニのプロフィール」主催。