紀尾井町サロンホール主催「木曜コンサート」をより皆様に楽しんでいただくための、インタビューシリーズ。演奏だけではわからない意外な素顔が垣間見えたり、より身近に感じられるようなお話をぜひお楽しみください。Vol.006は4月8日の木曜コンサートにご出演いただくチェルカトーレ弦楽四重奏団の皆さまにご登場いただきました。
チェルカトーレ弦楽四重奏団の皆様はソリストとしてもご活躍されていらっしゃる俊英の皆様がお集まりになられていますが、結成のいきさつを教えて頂けますか?
弦楽四重奏には素晴らしい曲がいくつもあって、本格的に勉強したいという気持ちが高校生の時くらいからありました。そしてより高いレベルの演奏や勉強する環境を求めるには、学外に目を向けることが1番だという恩師のアドバイスをもとに、学校の枠を超えたメンバー集めをまず行ったのがきっかけです。海外の素晴らしいアーティスト達のマスタークラスを受けられるセミナーや、弦楽四重奏の国内外のコンクールを受けることを目標としました。(関)
私は関くんと同じジュニアオーケストラに所属していたので、結成前から知り合いだったこともあり、彼から声をかけてもらいました。(中村)
メンバーの皆様の第一印象や、ご一緒に演奏活動をされるようになってから気づかれたお人柄など教えて頂けますか?
<関朋岳様について>
不思議な雰囲気をまとっていてマイペースなので、入った当初は多少困惑しましたが、普段の生活の中、例えば食べ物の好き嫌いや笑いのツボなどちょっとしたところで共通点があって、話すと面白いです。(戸澤)
最初から優しい人だなと思っていて、それは今も変わっていません。ただカルテットをやり始めてからは、合わせ中の会話のやり取りなどで、ちょっと天然ボケというか面白い部分も見えてきました。人間的にも音楽的にものびのびと自由ですごいなあと思います。(中村)
関くんとはカルテットを始めた時は全くの初対面でした。少し天然なところがありますが優しい人柄が印象的で、音楽の作り方に関してはとても強いこだわりをもっています。(牟田口)
<戸澤采紀様について>
彼女は1番歳下ですが、それを感じさせないほど堂々とした演奏や考えを持っています。ですが意外とお茶目な部分もありますし、僕とは気が合う部分も多い気がします。チェルカトーレ以外でも一緒に弾く機会が多くなってきました。これから先、長い付き合いになること間違いなしだと思います。(関)
初めて一緒に演奏した時、その小さな体で芯のある真っ直ぐ飛ぶ爆音を鳴らしている様に衝撃を受けました。人としても音と同じようにすごくしっかりはしているのですが、お片づけは得意でなかったり地図を読むのが苦手だったり抜けている部分もあるので、思わずお世話したくなります。(中村)
高校時代に2年間同じ学校で学んでいるのですが、その頃の第一印象と変わらず自分の意志がはっきりとあります。リハーサルで何か提案する際も人を納得させる力があります。(牟田口)
<中村詩子様について>
僕達は中学生からの付き合いですし頼れる部分も多いしっかりした人なので、どこか心落ち着かせてくれる存在です。弾いていて1番目が合うのも中村さんですし、日常生活でも的確な助言をくれる事もあり、チェルカトーレの絶対的存在です。(関)
とにかくタフで、仕事ができる、なおかつ無言実行ができる人で、すごく尊敬しています。普段の私のポンコツも、先回りしていつも助けてくれるので、頭が上がりません…(戸澤)
とにかく周りへの気配りができて思いやりに長けています。周囲の音をよく聴いていて、アンサンブルでも普段の会話でも皆の拠り所になるような雰囲気があります。(牟田口)
<牟田口遥香様について>
昔から気配りのできる人だなと思います。彼女なりのこだわりもしっかりありますし、しっかりと色々なことを考えている印象です。多分牟田口さんと一緒にいて嫌な気持ちをする人はいないのではないかと僕は思っていて、とても尊敬しています。(関)
色んな面で、私が持っていないものを持っているなと感じます。普段も細やかな気配りがあって、練習してる姿を見ても、とても真面目で、ストイックさが見えて、学ぶことが多いです。(戸澤)
初めて会った時から心の優しさや穏やかさがあふれ出ていて、小動物みたいでかわいいなぁと思っています。けれど活動していけばいくほど、実は4人の中では一番こだわりがある人だと(私は)感じていて、でもそれがとてもチェリストらしくて素敵だと思います。(中村)
皆様で気持ちを一つにして演奏されるために、心がけていらっしゃることはございますか?
一番心掛けているのは呼吸と拍感を合わせることです。まるでお互いに吸い寄せられるかのように動きも呼吸もシンクロできたら良いなと思いながら日々練習しています。(牟田口)
音楽に対するイメージや方向性を4人で共有できるように、合わせの中ではよく話合って試して「ああでもない、こうでもない」と、納得がいくまで何度でもチャレンジするようにしています。時間はかかってしまいますが、4人それぞれがもともと持っている音楽性や感じ方が違うからこそ刺激し合って新しいアプローチが生まれることもあるので、その作業は怠らないようにしています。(中村)
個人的に目指しているのが、イメージを言葉にすることです。伝えるというよりも、自分の中にある抽象的なものを具体化することで、イメージがすっきりと体の中に落ちてくる感覚があります。内容が良いか悪いかは置いておいて、自分の頭の中が整理されるので、最近大事だなと改めて思っています。(戸澤)
チェルカトーレ弦楽四重奏団のここが一番自慢というところを教えてください。
細部に至るまで丁寧に造り上げているところです。楽譜からどんなことが読み取れるか、固定観念にとらわれず様々な可能性を模索します。繊細で柔らかなppの音色や歌い上げるパッセージにとてもこだわっているところは私たちの特長かもしれません。(牟田口)
僕らにしかできない確立された個性を最大限に活かすことをいつも大事にしています。表現がパフォーマンスだけでなく、それぞれの心から素直に出ているものなのか、いつも丁寧に話し合って確認しています。(関)
和音の積み重ねの質です。特に緩徐楽章が得意だと個人的には思っていますが、感情の揺れ動きと和声の美しさの両立は、こだわりポイントだと思います。(戸澤)
今後ご自身や又はクァルテットとして、チャレンジしたいことはございますか?
カルテットを続けて4年目、僕個人としては本格的に勉強を始めてから7年目となるのですが、自分なりにこれまで様々な経験をして成長できている部分を毎年感じています。このまま続けていけば、この先更なる可能性を感じることができるのではと思うので、これからも長く続けていきたいです。(関)
チャレンジと言えるか分かりませんが、物怖じせずに自分の知らない世界に飛び込んでみたいです。色んな人と関わって、経験を積んで、常に自身の成長や変化を求めていきたいです。(戸澤)
弦楽四重奏はもちろんオーケストラやソロの勉強も続けて、どんな現場でも活躍できるマルチプレイヤーになれるよう努力し続けたいです。(中村)
カルテットではベートーヴェンの弦楽四重奏を全曲勉強したいと思っています。私個人では、いつか歌劇場でオペラの伴奏をしてみたいと思っています。オーケストラや歌手はもちろんのこと、舞台スタッフなど多くの人と共に造り上げる舞台を経験してみたいです。(牟田口)
最後に今回のコンサートを心待ちにされていらっしゃるお客様に、メッセージをお願い致します。
昨年12月に、ソロで紀尾井町サロンホールで弾く機会を頂きましたが、その時想像していたよりとても素敵なサロンで、素晴らしい環境でした。今回また演奏できることをとても嬉しく思います。このサロンでチェルカトーレならではの魅力ある響きをお客様と共有できたらと思います。(関)
様々な時代、国、様式の曲たちを詰め込んでみました。それぞれのキャラクターの違いを楽しんでいただければ幸いです。
また、コロナウイルスの影響で思うように演奏活動ができない中、このような機会をくださった紀尾井町サロンホールの皆様、そして私達の音楽を求めてくださる皆様への感謝の気持ちを、演奏でお返しできればと思っております。(戸澤)
今回演奏する曲は、どれも私たちが長い期間向き合ってきたものです。長時間の盛りだくさんのプログラムにはなりますが、各曲がもっているキャラクターやカラーを最大限に引き出して演奏して、皆様に最初から最後までお楽しみいただけるように頑張ります。(中村)
私は、サロンは室内楽を楽しむには最適な会場だと思っています。お客さまの反応を近くで感じることができ、共に演奏会を作っている実感があるからです。ベートーヴェンを軸にしたカルテットの名曲を、皆さまと素敵な会場で楽しめることを心より楽しみにしております。(牟田口)
このたびは、チェルカトーレ弦楽四重奏団の皆様のお人柄がわかる、素敵なお話しをお聞かせ頂き、誠にありがとうございました。紀尾井町サロンホールに皆様の音楽が奏でられる日を心より楽しみにしております。
コンサート情報
アーク紀尾井町サロンホール主催シリーズ 木曜コンサート
Quartetto Cercatore チェルカトーレ弦楽四重奏団
<日程>
2021年4月8日木曜日
<時間>
開場18:00 開演18:30
<場所>
紀尾井町サロンホール
<チケット料金>
2,000円 税込・全席自由
<チケットの購入>
紀尾井町サロンホールオンラインチケット予約
https://kioichosalonhall.com/shop/
<出演>
ヴァイオリン 関 朋岳
ヴァイオリン 戸澤 采紀
ヴィオラ 中村 詩子
チェロ 牟田口 遥香
<予定曲目>
ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第2番 作品18
ウェーベルン 5つの楽章 作品5
ブリテン 弦楽四重奏曲第2番 作品36
ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第12番 作品127