紀尾井町サロンホール主催「木曜コンサート」を、より皆様に楽しんで頂けますよう、ご出演者様へのインタビューさせていただきました。演奏だけではわからない意外な素顔が垣間見えたり、より身近に感じられるようなお話をぜひお楽しみください。Vol.004はヴィオリニストの関 朋岳さんです。

ヴァイオリンをはじめられました、きっかけにつきまして教えて頂けますか?

3歳から始めたのでとくに覚えていることがありません。物心ついた時にはすでにヴァイオリンを弾くことが生活の一部になっていた気がします。あまり練習しなかったのでまずきらきら星を1年近く練習したようですが、その後はどんどん弾けるようになり、6歳でクライスラーのコレルリの主題による変奏曲を弾いていました。9歳か10歳でメンデルスゾーンの協奏曲全楽章を弾けるようになり、だんだんと楽しくなってきたので頑張って続けることができました。

演奏家を志すなか、ご自身の支えとなった出来事や恩師からのお言葉などおありでしょうか?

直接的な言葉というのはありませんが、僕のキャラクターに合った演奏スタイルのベースを作ってくださった守田マヤ先生と小林健次先生、僕の人生でとても重要なものとなったカルテットの魅力を教えてくださった原田幸一郎先生、スランプに陥っていた僕を見捨てずにとことんレッスンしてくださった渡辺玲子先生、僕の個性を受け入れてくれていつも味方でいてくださる神尾真由子先生など、それぞれの師匠との出会いがかけがえのないものになりました。これだけ師匠に恵まれていることは、とても幸運だと思います。

数あるレパートリーのなかで、特に大切におもわれている楽曲ご自分の成長の糧になったと思われるような楽曲はございますか?付随するエピソードなども、おありでしたら教えていただけますか?

ドビュッシーの弦楽四重奏曲第3楽章は大切な曲です。初めて弦楽四重奏という存在を強く認識するきっかけになりました。とくに恩師原田幸一郎先生が弾いていらっしゃるドビュッシーは名演で、それを聴いたのがカルテットの魅力に取り憑かれた理由です。

現在、東京音楽大学アーティストディプロマコースに在学中でいらっしゃいますが、普段の一日はどのような過ごしかたが多いですか?

アーティストディプロマというのは基本的にはレッスンを受けるだけです。最近はコロナのためあまり学校ではレッスンを受けずに、先生のご自宅やオンラインでのレッスンとなっています。他には弦楽四重奏の合わせをしたり、N響の本番や練習に出かけたりしています。一応学生という身分ではありますが、ありがたいことに毎週本番がありそれに追われているので、学生よりもフリーランスの演奏家という表現の方がしっくりくるのかもしれません。

音楽以外でお好きなことはございますか?

最近テニスを習い始めました。バイオリンが忙しいとなかなか行くことができませんが、一応好きで定期的にスクールに通っています。

ソロ活動とともに同年代の俊英と言われるアーティストと結成されたチェルカトーレ弦楽四重奏団のご活動とおありですが、ソロとカルテットそれぞれの良いところ、これからチャレンジしたいことなど教えて下さい。

ソロとカルテットで大きく違うなと思うことは、カルテットにはソロに比べて技巧的な部分が少なく、もっと音楽性であったりカルテットらしさであったりと、別の部分で勝負しなくてはなりません。僕の予想ですが、華やかさではあまり魅せられないカルテットでは、ソロに比べてより音楽家としての本質を求められ、見ることができるのではないかと思います。ノリと勢いでは完成されません。逆にソロの良いところは最も自由が効くということです。より個性を求められますし、名曲も多いので、より自分を魅せられる形だと思います。

最後になりましたが、今回のコンサートの見どころなど、楽しみにされていらっしゃるお客様にむけて、コンサートのみどころなどメッセージをお願い致します。

現在コロナウィルスによる厳しい状況が続いている中で、演奏会ができ、皆様と時間を共有できることはとても幸せだと思います。6月に自粛期間を経て久し振りにコンサートをする機会があったのですが、その時いつも当たり前のようにいただいていた拍手がものすごく温かく感じられたのが印象的でした。この喜びを噛み締めて、当たり前のことへの感謝を忘れずに、心を込めて演奏したいと思います。

プロフィール

関 朋岳
ヴァイオリン

第16回東京音楽コンクール弦楽部門第1位。これまでに日本フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団等と共演。室内楽ではチェルカトーレ弦楽四重奏団を結成し、サントリーホール室内楽アカデミー第5期フェローとして活動。フィンランドのクフモ室内音楽祭にて、オレグ・カガンメモリアルファンドスカラシップ授与。現在NHK交響楽団アカデミー生。東京音楽大学アーティストディプロマコース1年に特別特待奨学生として在学中。原田幸一郎、神尾真由子の各氏に師事。使用楽器は(株)日本ヴァイオリンより貸与されたFrancesco Gobetti。

コンサート情報

アーク紀尾井町サロンホール主催シリーズ 木曜コンサート
“関朋岳ヴァイオリンリサイタル ドルチェの世界を探求する”

2020.12.17 木曜日
19:00開演(18:30開場)
チケット:一般3000円 学生1000円

ヴァイオリン:関 朋岳
ピアノ:丸山晟民

プログラム
フォーレ
ヴァイオリンソナタ第1番イ長調作品13
夢の後に

サン=サーンス
ヴァイオリンソナタ第1番ニ長調作品75

ラヴェル
ツィガーヌ
ヴァイオリンソナタ第1番イ短調
ヴァイオリンソナタ第2番ト長調

お問い合わせ
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